プロの店舗診断の視点

看板が集客と言う最大の広告効果を上げるためには、「発見してもらう」→「興味を持ってもらう」→「なんとなく入店したくなる」→「入店してもらう」という一連の流れの中で、それぞれについて出来る限り高い確率を得られるようにしなければならない。
（レポート「集客力を劇的に増加させる3段階確立理論とは？」にて詳述）
したがって、店舗診断は、その流れに沿って行われ、それぞれに特別な視点が存在する。

1つ目の視点は、その店舗がどれだけ知られているかということである。
もちろん、通行量が多ければ認知している人の数も多くなるが、それ以上に大事なのは、どれだけの確率で認知されるか、ということである。

たとえば、通行量が10,000人であっても発見確率が30%しかなければ、3,000人にしか認知されないが、通行量5,000人であっても発見確率が70%あれば3,500人に認知されることになる。
まず、交通量がどれくらいあり、店舗の発見確率はどの程度かを調査することがスタートになる。

そこで、最初に行うのは、店舗から100m(駅前型なら50m)離れた地点から、看板がどのように見えるか、ということの検証である。歩行者の目線、ドライバーの目線など、視点を変えながら調査を行う。その際、看板が見えているだけでは意味がないため、その業態を把握できるかどうかも調査する。
そして、現在の看板は、より遠くからでも見えるような、適切な「大きさ」「形状」「色」「デザイン」であるかを検討していくことになる。

2つ目は、認知している人のうち、興味を持っている人がどれだけいるか、という視点である。
当たり前だが、看板を見て、お店を知っていても、興味がなければ、入店に至らない。
実際に、通行人、あるいは、ドライバーの視点で、あなたのお店の前を通ってみてほしい。
実に、様々な店舗の看板や情報が、目に飛び込んでくるはずである。
そういった様々な情報を押しのけて、あなたのお店に興味を持つかどうかが勝負になる。
そこで、この段階のチェックポイントとしては、「興味を引くようなキャンペーンの告知が行われているか」「特徴が分かりやすく打ち出されているか」「店舗の盛況感・営業感を演出できているか」という点になる。
この点については、調査を行ってみると、きちんと他店と差別化しているケースは、残念ながらまれである。他店と似たり寄ったりになってしまっており、興味を持ってもらえていないことが多いのである。

また、長年同じ看板を掲出し続けた結果、風景の一部と化してしまっている看板も少なくなく、このような場合は、上記のチェックポイントをクリアしていても、なかなか集客力向上につながらないことがある。このような場合は、看板を作りかえるだけでも、興味を持ってもらえることが少なくない。いつもと変わらない風景の中に、新しい看板が現れると、通行人は興味をもつのである。

また、興味をひくようなキャッチコピーやキャラクターを看板に入れることで、顧客を集めている店舗もある。

このように、通行人に、より高い確率で興味を持ってもらえるための取り組みや工夫が十分になされているかどうかが、2つ目の店舗診断の視点になる。

3つ目の視点は、入店しようという意思決定を促せているかどうか、という視点である。
せっかく興味を持ってもらったのに、最後に入店を躊躇させているケースも少なくない。
路面店であれば、店舗の中が見えるが、地下店舗や空中店舗は、通行人のちょっとした躊躇によって、客足を逃がしていることが多い。

店舗の雰囲気が分かるか、価格やメニューが分かるか、という点は入店促進のための重要なポイントになる。また、入口が分かりやすいか、店までの導入路があるか、お店の信頼感が表現されているか、入口が明るく安心できるか、等のチェックも重要である。

ある店舗では、10人以上が店前で立ち止まったものの、結局2人しか入店しなかった。
通行人が入りやすい状態を作ることも、看板の大事な役割なのである。

このような視点で行った店舗診断結果は、きちんとまとめておく必要がある。どのような看板を作れば、集客力が高まるのかに関する、重要な検討材料となるからである。